K. Inoue
(更新)
想像してください。
誰かと会話をしているときに、あなたが話している間、相手が表情一つ変えず、ただ黙ってあなたを見つめていたら…
そんな状況は、不自然かつ、ちょっとした恐怖すら感じるのではないでしょうか。
会話をするとき、話をしていない側の人は相手の言葉を聞きながら、感情によって表情を変えたり、「確かに」「なるほど」などと相槌を打ったりするものです。
「確かに」「へえ」「そうだよね」「なるほど」「その通り」など、たとえその言葉自体に深い意味はなくても、相槌には「あなたの話を聞いているよ、理解しているよ」と示す意図があり、自然で円滑なコミュニケーションを成立させるためにとても大切。
さらに相槌は、相手に話の続きを促したり、逆に次に自分が話すタイミングにつなげたりするバトンの役割も果たします。
今回は「確かに」「その通り」など、相槌に使える英語表現をご紹介していきます。
まずはもっとも基本的な「確かに」「なるほど」の英語表現から。
これらは相手への理解を示す相槌です。
「私は見える」が直訳ですが、そこから「相手の話していることが見えている」「話の内容が分かる」という意味で使われます。
頷きながらサラリと言って「なるほどね」とクールな感じにも言いますし、Oh「ああ」などの感嘆詞をつけたり強く発音したりして「なるほど!」とピンときたニュアンスで言うこともできます。
「そのようにして私たちは問題を解決しました」
「ああ、なるほど」
right は「正しい」という意味。「(あなたは)正しい」から「確かに」のニュアンスになります。
「彼女は1時間前に出たので今頃は到着しているはずよ」
「確かに」
true は「本当である」という意味で、right と同じように使います。
「人生最後の日がいつかなんて分からないものだよ」
「確かにね」
「私はそれを手に入れる」が直訳で、そこから「話の要点を掴む」という意味を表します。
「そういうわけで君とこのニュースを共有しておきたかったんだよ」
「ああ、なるほど」
make sense で「意味を成す」。「それは意味を成す」つまり「話のつじつまが合って理解できる」ということです。
「このソフトウェアの古いバージョンを手に入れるには、最新版を購入してからダウングレードする必要があります」
「ああ、なるほど」
「本当に」という意味で知られている really ですが、Really? と語尾を上げるのではなく、Oh really.のように語尾を下げて言うことで、「ああ、そうなんですね」と理解したことを伝えることができます。
「来月カナダに行くんです」
「そうなんですね」
続いて、相手の発言に「その通り」と共感したり同意したりする表現をご紹介します。
先ほどもご紹介した right は、「あなたの言っている通り」の意味で共感や同意のニュアンスでも使います。
また、true も同じように使うことができます。
「長期休暇明けはいつだって仕事に戻るのが億劫なものだね」
「そうだね」
exactly は「正確に・まさに」という意味で、相手の言うことに「その通りだよ」と同意するときに使います。
「じゃあ、君は彼が僕らのお金を盗んだって言うんだね」
「その通りよ」
absolutely は「完全に・絶対的に・まったく」という意味で、exactly のように「まさにその通りだよ」というニュアンスで使います。
また、Are you sure?「本当に?」→Absolutely!「もちろん!」のような使い方をすることもあります。
「あの映画は最悪だったね」
「まったくだよ!」
文字通り「私は理解します」という意味で、相手への共感を表します。
「どうしようもなかったんだよ」
「分かるよ」
これも文字通り「私もそう思います」という意味で、定番の同意表現です。
「彼は良い人だと思う」
「僕もそう思うよ」
次も「共感」に関連して、「僕も」「私も」という意味になる英語表現をご紹介します。
シンプルなのは
Me too.「私もです」
ですが、ここでは少し文法を使った表現方法をご紹介していきます。
少し練習が必要ですが、慣れれば決して難しくありませんので、ぜひ身につけてみてください。
■ 一般動詞:現在形
肯定文に対して、<So+助動詞/be動詞+I>という形で「僕も・私も」を表します。
「私は買い物が好きです」
「私もです」
この使い方のポイントは、最初の人の発言の動詞(ここでは like の現在形)に対応して「do」を使っていることです。
一般動詞の現在形の場合には、このように do を用いて表現します。
■ 一般動詞:過去形
「先週スキーに行ったのよ」
「僕もだよ」
今度は最初の人の発言の動詞(go の過去形 went)に対応して「did」を使っています。
一般動詞の過去形の場合には、このように did を用いるというわけです。
では次のパターンではどうでしょうか。
■ be動詞
「私はABC大学の学生です」
「私もです」
最初の人の発言で、一般動詞ではなく「be動詞」が用いられています。
したがって、これに呼応して do ではなく「am」を使うことになるわけです。
「今朝は図書館にいました」
「私もです」
もうお分かりですね。
最初の人の発言がbe動詞の過去形「was」を使っているので、やはり was を対応させて使っているのです。
■ 完了形
完了形の「have」を用いると、このような形になります。
「カナダに行ったことがあります」
「私もです」
■ 助動詞
同じく、助動詞「can」などについても同じように使うことができます。
「私は泳げますよ」
「私もです」
否定文に対する「僕も・私も」では、so ではなく「neither」という単語を使います。
相手の発言で使われている動詞の種類と時制に合わせて応答する点は上記と同じです。例文をチェックして、パターンをしっかりと頭に入れておいてください。
「ニンジンは好きではありません」
「僕もです」
「彼がいたなんて知らなかったよ」
「私もよ」
「お腹は減ってないよ」
「僕もだよ」
「それについては確信がなかったんだ」
「私もです」
「彼にはしばらく会ってませんね」
「私もです」
「僕にはあの男は信用できないよ」
「僕もですよ」
<So/Neither+助動詞/be動詞+I>は、相手の発言を正確に聞き取れていなければ正しく用いることができません。
そういう意味では、これが使いこなせると、相手に「この人は英語が分かっているな」と思わせることができるでしょう。
ワンランク上の相槌を目指してぜひ練習してみてください。
次に、相手の発言を聞いて驚いたときの英語フレーズをご紹介します。
語尾を上げて Really? と言うと「本当に?」と驚きを表すことができます。
「あの二人結婚するんだよ」
「本当に?」
「そうなんですか?」と尋ねることで驚きを表します。
「今日の試合は中止です」
「え、そうなんですか?」
「まさか!」「そんなわけないよ!」というニュアンスで強い驚きを表します。
「彼はテストでカンニングしたんだよ」」
「そんなまさか!」
「冗談だろう!」という意味で、これもかなり強めの驚きを表します。
また、「ふざけるなよ!」のようなニュアンスで使うこともあります。
「金庫からお金が全てなくなっています」
「冗談だろう!」
他にも、ネガティブな話を聞いて「残念だね」のように同情したり、逆にポジティブな内容に「やったね!」と共に喜びを表現したり、さまざまな相槌があります。
自分にとって嫌なことがあったときにも使えますが、相手の身に起きたよくない出来事をまるで自分のことのように感じていることを表す相槌として使うこともできます。
「森で迷ってしまって、おまけに食べ物も残ってなかったんだ」
「ええ、そんな」
「ごめんなさい」という謝罪の意味がよく知られていますが、「それはお気の毒ね」のように同情の言葉としてもよく使われています。
「先週祖父が亡くなったんです」
「まあ、それはお気の毒でした」
文字通り「それは悪すぎる」と思っていることを表します。
「失業しちゃったよ」
「ええ、そんな。最悪だね」
ここでの must は「~に違いない」、tough は「大変・しんどい」といった意味で使われています。
「夏の間は休みがなくてね。おまけに一日中屋外で仕事さ」
「それは大変だね」
笑顔と身振りを交えて一緒に喜んであげらると、相手ももっと気持ちがよくなります。
「ついに勝ったよ!」
「やったね!」
喜びだけでなく、「悪いことにならずにすんでよかったね」という安心した気持ちを表すときに使うこともできます。
「プロジェクトは本当にうまくいったよ」
「それはよかったね」
いかがだったでしょうか。
状況や相手の発言内容に合わせて理解や共感などを示すことは、コミュニケーションには決して欠かせません。
たとえ言葉にならなくても、うなずく、表情を変える、なんらかのジェスチャーを用いるなど、何らかの反応を示そうとする姿勢をまずは大切にしてください。
その上で今回ご紹介したフレーズや表現方法などを踏まえて、状況に応じて適切に英語で相槌が打てるように練習してみてください。